日本と海外の文化・マナーの違い
西手 夕香里(通訳・翻訳修士)
# ことばのおもてなし
# Hospitality of words
# Vol.24
コロナ禍で止まっていた外国人観光客の受け入れが本格的に再開し、ビジネスの場でも海外からのゲストを迎え入れるといった場面が増えてきたのではないでしょうか。今回は海外ゲストを日本でおもてなしする際に気をつけておいた方がよいポイントや役立つヒントについてご紹介します。
お客様の来日スケジュールが決定したら、まずはメールで食物アレルギーがあるか、健康上の配慮は必要か(糖質制限など)について尋ねます。Vegan(卵や乳製品を含む、動物性食品をいっさい口にしない「完全菜食主義者」)、Halal(イスラム教で食べることが許されている食品、豚肉とアルコールは全面的に禁じられている)、Kosher(ユダヤ教徒が食べてもよいとされる「清浄な食品」)の他にも、red meat(赤身肉)は食べない、生魚(刺身)は食べない、seafoodアレルギー、lactose intolerance(乳糖不耐症)などを聞き取っておきましょう。
最近、糖質制限食を希望したお客様にlowcarb(低糖質)のお弁当とおやつを用意したらとても喜ばれた事例がありました。また、Sushiが食べたいというので寿司屋に連れて行ったら、こういうのではなくて…と言われ、どんなお寿司が食べたいの?と聞いたらCalifornia rollとか、Spider rollが食べたい!と言うので、authentic(本物の) Japanese sushiについて説明したこともありました。
外国人が喜ぶ料理は、焼き鳥、てんぷら、焼き肉、すき焼き、鉄板焼きなどですが、ラーメンやウナギ、居酒屋や回転寿司も人気です。生卵はほぼ食べません。ビールをたくさん飲むイメージがありますがキリリと冷やしたJapanese rice wine(日本酒)もグイグイ飲みます。イカは、squidと訳すと食べませんが、calamariと訳すと食べます(笑)。
正座は苦手なので、お座敷よりテーブルがよいでしょう。体も声も大きい方が多いので、個室を予約した方が周囲に気を使わずにすみます。料理を取り分けることは問題ありませんが、サービング(取り分け)用のお箸は別に用意します。お酌すると喜びますが、自分のペースで飲む方が多いので、無理強いは禁物です。
食事の時の会話は、スポーツ、映画やドラマ、趣味の話題がよいでしょう。自宅や家族、バケーションの写真を見せられたら、オーバー アクションで賞賛すると盛り上がります。また、お料理が出るたびに食材の説明をすると、興味を持って聞いてくれます。大統領選挙の時などは政治の話題になることもありますが、当たり障りのないコメントをしておいた方が無難です。人気の寿司ネタや食材は英語で言えるようにしておくとよいでしょう。
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Profile
西手 夕香里 Yukari Nishide
通訳・翻訳修士
日米企業の社内通訳として11年間の経験を積んだのちに独立。フリーランスとして規制当局によるGxP 査察を中心に医薬品分野の通訳に関わる。2016 年にシミックグループに入社。現在、多数のプロジェクトで通訳・翻訳者として活躍中。