HIRAKU’ s VIEWPOINT コラム vol.28
「IKIGAI」言語化ワークショップ
Hiraku(中村キース・ヘリング美術館ディレクター)
# HIRAKU’ s VIEWPOINT
# HIRAKU’ s VIEWPOINT英語
# Vol.24
世界中の子どもたちに表現の場を提供するこのコンクールは「独自性の高い施設とコンクールを通じて、社会課題を考え発信する場を提供している。世界を対象にアートの裾野を拡げ、子どもたちの豊かな感性を育んでいる」ことが評価されました。
2022年11月24日、シミックホールディングスと中村キース・ヘリング美術館が共催する国際児童絵画コンクールは企業メセナ協議会により、メセナアワード2022の優秀賞を受賞しました。世界中の子どもたちに表現の場を提供するこのコンクールは「独自性の高い施設とコンクールを通じて、社会課題を考え発信する場を提供している。世界を対象にアートの裾野を拡げ、子どもたちの豊かな感性を育んでいる」ことが評価されました。
当コンクールは美術館が開館した2年後の2009年に始まり、2023年には15周年を迎えます。これまで各国の子どもたちから毎年変わるテーマに沿って計16,000点以上もの作品が応募されてきました。そんな中、世界中で新型コロナウイルス感染症終息の希望が見え始めた2021年のコンクールに集まった作品群には、「環境」を語ったものが今まで以上に見られました。「環境」といえば自然や生き物を想像しがちですが、ここでの「環境」は子どもたちが置かれる政治や社会状況も含まれています。
マスクをして楽しそうに遊ぶ子どもたちの様子や、海へ沈んでゆく地球を縄で縛り、さまざまな色の手が縄を引っ張り地球を救出しようとしている様子を描くものもありました。これまでも環境問題をテーマにする作品は増加傾向にありましたが、この年、感染症拡大による自粛やロックダウン、緊急性が騒がれる地球温暖化をめぐるニュース、世界各国でファシズムを彷彿とさせる政権の登場などを経験した子どもたちはこれまで以上に環境保護や平等、平和を願う絵を私たちに見せてくれました。
まるで、届かない自分たちの小さな声を絵に託し、大人に変化を訴えているようでした。そんな子どもたちの「声」を聞き、私たちは2022年から当コンクールを「環境」を課題にするコンクール、子どもたちによって作られるコンクールとして再スタートしました。また、毎年開催している授賞式は国内外の子どもたちや保護者たちとのアートを通したふれあいの場としても機能しています。ボランティアを募り、シミックの社員の方々も参加する機会となっておりますので、読者の皆さんのご参加をお待ちしております。
Profile
Hiraku
ニューヨーク育ち。2014 年まで米国人コスチュームデザイナー・スタイリスト、パトリシア・フィールドの元でクリエイティブ・ディレクターを務め、ナイトライフ・パーソナリティーやモデルとしても活動。現在では中村キース・ヘリング美術館でプログラム&マーケティングディレクターとして、自身が人種・性的マイノリティーとして米国で送った人生経験を生かし、LGBTQ の可視化や権利獲得活動に積極的に取り組んでいる。
https://www.nakamura-haring.com/
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