# HIRAKU’ s VIEWPOINT

# HIRAKU’ s VIEWPOINT英語

# Vol.21

相手の文化を訪ね、自身の文化を知る 異文化コミュニケーションに求められる あれこれ

Hiraku(中村キース・ヘリング美術館ディレクター)×西手 夕香里(通訳・翻訳修士)

#カルチャースイッチ   #ふむふむ豆知識   #コラム  

C-PRESSの人気コラム『ことばのおもてなし』の西手夕香里さんと「Hiraku's Viewpoint 」のHirakuさんのスペシャルコラボ第2弾。 今回は、前回ご紹介できなかったこぼれ話や印象的だったエピソードをテーマごとにご紹介します。

国際交流での人間関係ってむずかしい?

西手 : 米国人は最初のドアは開いているけれど、最後に他人を受け入れてくれない領域がある。と てもオープンマインドな態度で接してくれるのに最後に一枚のドアがあって、そこがなかなか開かない。一方、日本人はドアは開きにくくても、一度信用 すると、とことん最後まで信用してしまう気がします。

Hiraku : 僕は逆に日本人にそれを感じるかな。日本では米国と違って人種の差を感じることはないけれど、日本人同士という社会的なバックグラウンドも含め、同類の仲間でないと入っていけない領域があって、その最後のドアが開かないのが日本かなと。自分では仲がいいと思っていても、ここから先は入れてくれないんだと思うこともある。いまだに会話の距離感には悩んでいます。

米国と日本はまさに正反対!? ソフト or ハード

Hiraku : 日本に帰国後、「これって合ってる?」と正解がわからなくて戸惑うことがあった。たとえば、電車の乗り降り。改札機にタッチするタイミングがつかめず、戸惑っていると扉が閉まる。ニューヨークの地下鉄では金属バーだから絶対に通れないと誰でもわかるけれど、日本では改札機がソフトな素材だから通ろうと思えば通れてしまう。米国では公共の建物などの扉も力で無理やりこじ開ける必要があったりする。社会の作りが、そもそもハードなんですね。日本にいると何が常識かわからないまま行動し、自分がまるで乱暴者になってしまったような気分になることも多いです。

西手 : 日本は何でもソフトタッチ(笑)。社会インフラも自動が多いし、扉なんかも音もなく「すーっ」と開く。力づくでも開かないときは、扉の「押す」と「引く」を間違えるように、やり方が間違っていることが多いかな。改札が通れてしまうみたいに、あいまいな部分を残しているのも日本っぽいかもしれない。ニューヨークは改札を通れないから厳しいけれど、誰にでもわかりやすいですね。

異文化の常識に翻弄される。マナーの話

Hiraku : 今よりもずっと派手な格好をしていたころ、サングラスをして企業を訪問したことがあります。服装でも驚かせてしまったのかもしれないと今では思うけれど、指摘されたのはサングラスをしたままあいさつしてはダメということでした。あいさつの席ではサングラスを外すのが日本のマナーだとは知らなかった。

西手 : 私は入社式の案内にジャケット着用と書いてあったのに、見落としていたんです。周囲の視線を感じて「何かやらかしてしまったかな?」というときがありました。入社式後に教えられてわかったのだけれど、日本ではみんなと違うことをすると目立ちますよね。海外では個性となるのに。

多様性を受け入れる。LGBTQとどう向き合うか

西手 : 日本人って空気を読む民族だし、相手に合わせることのできる国民性だと思う。だからLGBTQ についても受け入れなきゃと思う反面、どうすればよいかがわからない。自分から触れてしまうことは失礼なのではないかと思っている人が多いように感じます。

Hiraku : 米国では社会的な認識は進んでいるけれど、州によってはLGBTQ を認めないなど、受け入れに問題があることが多い。日本は、社会的な認識はそれほど進んでいなくても、受け入れる気持ちはあるように感じています。ちなみに僕はゲイということが自分にとって強みだと思っているので、時と場合によって聞かれる前に先に相手に伝えることもあります。

経験で勝負!グローバル時代のコミュニケーション

Hiraku : 日本文化ってこういうものと意識していなくても、生活様式や習慣の中に日本的なものは含まれている。それを再認識して国際社会に主張できるように準備しておくことが必要なんじゃないかな。文化や背景、習慣が違うことを自分で経験した上で、コミュニケーションを図ることがビジネススキルとして求められる時代になってきていると思います。

西手 : 自分の持っているもので勝負していくしかないと思う。自分が今まで積み上げてきた技術、経験、知識、それが何よりの武器になる。欧米とのビジネスの場で感じるのは、グローバル化というのは欧米に合わせることではない。自分ができることを主張し、伝えること、それができる人なら欧米でも必ず尊敬されるということをこれまでの経験から私は学びました。

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Profile

西手 夕香里 Yukari Nishide

通訳・翻訳修士

日米企業の社内通訳として11年間の経験を積んだのちに独立。フリーランスとして規制当局によるGxP 査察を中心に医薬品分野の通訳に関わる。2016 年にシミックグループに入社。現在、多数のプロジェクトで通訳・翻訳者として活躍中。

Hiraku

中村キース・ヘリング美術館ディレクター

ニューヨーク育ち。2014 年まで米国人コスチュームデザイナー・スタイリスト、パトリシア・フィールドの元でクリエイティブ・ディレクターを務め、ナイトライフ・パーソナリティーやモデルとしても活動。現在では中村キース・ヘリング美術館でプログラム&マーケティングディレクターとして、自身が人種・性的マイノリティーとして米国で送った人生経験を生かし、LGBTQ の可視化や権利獲得活動に積極的に取り組んでいる。

https://www.nakamura-haring.com/

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