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# Vol.18

アメリカと日本のワークカルチャーの違い

Hiraku(中村キース・ヘリング美術館ディレクター)

#カルチャースイッチ   #コラム  

私が日本に住み始め、2020年で6年目を迎えました。日本ではまだ中村キース・ヘリング美術館でしか働いたことがありませんが、この6年間、取引先や関連会社との仕事も経験し、日本での働き方を観察させていただきました。 今回は、私が経験したアメリカ(ニューヨーク)と日本のワークカルチャーの違いについてお話しさせていただきます。

タイムマネジメント

日本の社会では、有給休暇をとらないことや残業をすることなどが良いことだとされがちですが、ニューヨークでは、ただタイムマネジメントができないだらしがない人であるというようなネガティブな印象を与えます。とはいってもアメリカはヨーロッパほど労働環境に対して厳しくないので、休日に会社からの電話に出たり、家で仕事のメールをチェックしたりすることはみんなやっています。残業をするのも本当に特別なプロジェクトや締切を控えている時期や、単に遅く出勤した日くらいでしょうか。私は効率の悪いことをするのが好きではないので、この件に関してはアメリカの働き方が合っているなと思います。

お酒

日本では、飲み会の翌日に二日酔いで出社することにとても寛容ですよね。アメリカでは会社員がお酒の匂いをさせながら出勤するなんて非常識すぎて、最悪の場合、解雇されます。日本ではアメリカよりもアルコールというものが大切にされているような気がします。たとえば日本では仕事関係の飲みの席でのマナーや作法なども決まっていますし、乾杯や手締め(一本締め、三本締めなど)があったり、お互いお酒を注ぎ合うことが礼儀であったりと、私にはどうもついていけません。幸い、私の職場ではそういった習慣があまりないので助かっています。友だちや知り合いの話を聞くと「お酒を飲まされる」などと耳にします。アメリカでは人に強制的にお酒を飲ませることは絶対にやってはいけないことなのです。あまりお酒が好きではないからかもしれませんが、これについて、私は日本のやり方に賛成できません。

ヒューマンリレーションズ

ニューヨークの職場では、しばしば口論などで緊迫する場面がありました。社内での口論、犯人探し(前職場ではみんなで「魔女狩り」と呼んでいました)、陥れや「裁判」などを生き残るのは日常茶飯事で、まるでリアリティー番組のカメラが回っているのではないかというほどのドラマが毎日繰り広げられていました。しかし日本ではそこまで物事がエスカレートすることはありません。お互い気を使い合いながらなるべく争いごとにならないようにとても平和に仕事を進めていくものだなと感じます。(ちなみに日本のやり方に従っているつもりの私は、よく美術館のメンバーにアグレッシブすぎると文句を言われます。)何か問題があっても、みんな穏便に解決しようとします。もちろんいつまでたっても何をしても絶対に本音は話してくれませんが、それでもこのことに関しては、私は日本のほうが良いなと思います。

税金

アメリカでは確定申告の時期になると自分で申告をしなければいけません。その時期になるとみんな急いで代理申告サービスやウェブサイトへ駆け込み、寝る間も惜しんでなんとか取り戻せる税金を手に入れようと必死です。ですが日本では、親切なことに会社がすべて年末調整の手続きをしてくれます。この違いのおかげで、私生活の無駄な時間やプレッシャーから解放され、かなりのストレスを逃れることができています。日本はやはり、便利さがとても充実している社会だなと思います。もちろんこの点に関しても日本のほうが良いと思っています。

今回はほんの少しですがアメリカと日本のワークカルチャーの違いを私の視点で紹介させていただきましたが、アメリカと日本は本当に真逆な部分が多いなと日々感じています。さまざまな文化から多様なワークカルチャーを持った人々と一緒にお仕事なさっている方も多くいるのではないでしょうか。みなさんが日々どんなご経験をなさっているのか、ぜひ聞かせていただきたいです。

Profile

Hiraku

中村キース・ヘリング美術館ディレクター

ニューヨーク育ち。2014 年まで米国人コスチュームデザイナー・スタイリスト、パトリシア・フィールドの元でクリエイティブ・ディレクターを務め、ナイトライフ・パーソナリティーやモデルとしても活動。現在では中村キース・ヘリング美術館でプログラム&マーケティングディレクターとして、自身が人種・性的マイノリティーとして米国で送った人生経験を生かし、LGBTQ の可視化や権利獲得活動に積極的に取り組んでいる。

https://www.nakamura-haring.com/

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