多様性の時代だからこそ、怒りを通じて相手側の景色を想像しよう -アンガーマネジメントで互いの違いを楽しむ-
インタビュー:戸田 久実氏(アドット・コミュニケーション株式会社 代表取締役、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事)
# 多様性
# Diversity & Inclusion
# Vol.29
人財不足が深刻化する今、企業にとっては、既存の社員の力を最大限に引き出すことが求められています。 異なるバックグラウンドを持つメンバーが集まる中で、どのようにチーム全体の力を最大化できるのでしょうか。今回は、さまざまな経験や視点を持つリーダーたちが集まり、日々の実践や試行錯誤、そこから得た気づきについて語り合いました。
【座談会参加メンバー】シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社
高瀬 まき子 : メッドコミュニケーション事業本部 Med Reach Lab Lab長
新井 直美 : SSIカンパニー 横浜オフィス オフィスディレクター
佐藤 大介 : メッドコミュニケーション事業本部 Med Reach Lab
メッドリーチプロモーショングループ グループリーダー
磯本 真理子 : SSIカンパニー 京都オフィス オフィスディレクター
Index
磯本 : 「ダイバーシティ」という言葉自体を意識することは少ないですが、さまざまな考え方を持つ人がいる中で、 その考えを否定することなく受け入れ て、どうやってまとめていくのかが大きなポイントなのではと思っています。
新井 : ダイバーシティといえば、女性の活躍推進や産休復帰が注目されがちですが、私たちの組織では、働く環境や生活スタイルに合わせた 柔軟な働き方も重要視しています。たとえば、介護など家庭の事 情があっても働き続けられるように、週3日勤務なども提案してい ます。個々のライフスタイルや状況に合わせた柔軟さが、誰もが力を発揮できる職場づくりにつながっていると感じています。
佐藤 : 価値観が異なるメンバーが集まると、時には人間関係に トラブルが生じることもあります。そのため、まず大切なのは しっかりとしたコミュニケーションだと感じています。1on1や、日常の雑談を通じて、お互いの考えを 共有する時間を設けることが、理解を 深める第一歩になると思います。
高瀬 : 確かにコミュニケーションは大事 ですね。いろんな意見に耳を傾けると 同時に、自分の価値観に偏りすぎない ように気をつけています。一歩引いた 視点を意識し、意見の相違があった際 には、片方の意見だけで判断せず、必ず自分で確かめるように しています。そうすることで、不公平感を防ぎ、信頼関係が築け ると思っています。
磯本 : 自分やメンバー間で意見の対立があると、どう対応すべきか悩むこともあります。しかし、相手が意見を出してくれるのは何とかしたいという強い思いがあるからで、ネガティブな意図はないと感じています。お互いをリスペクトしていれば、歩み寄りながら解決策を見つけることができると思っています。
新井 : 新しいメンバーが入ってきたときに、資格や経験の差を感じることがあります。その受け止め方は人それぞれで、「自分はまだ足りない」と落ち込む人もいれば、「自分はできている」と自信を持って前に進む人もいます。育成の場面では、つい 自分のレベルに合わせたくなりますが、 それがプレッシャーにつながること も。目標は同じでも、努力のペース ややり方は人それぞれです。教える側 も教わる側も一生懸命ですが、うまくいかないこともあります。そんなときは、雑談やランチを通じてリラック スした雰囲気をつくるよう心がけてい ます。
高瀬 : すべてを完璧にこなせる人はいません。それぞれの得意 分野を活かし、チームで支え合いながら目標を達成していくことが 大切だと考えています。自分が苦手なことを得意なメンバーに 任せるのもひとつの方法です。誰にでも強みは必ずあるので、それ を認めて伝えるようにしています。また、私は学生時代から「100点 を目指さない」スタンスで(笑)、完璧を求めすぎず、メンバーにも適 切な目標を設定し、過度なストレスを与えないよう心がけています。 さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが協力し合うことで、 新しい価値が生まれると思っています。
佐藤 : 高瀬さんのように、メンバーの 得意分野をしっかり把握して、それに 合った業務を割り振る方法はとても 参考になります。私も見習いたいと思 いました。また、優秀なメンバーに負 担が集中しないよう、常に話し合いを 重ねることが、チームの機能を高める 鍵だと改めて実感しています。
磯本 : 一人ひとりの成長を支えるためには、その人に合った 目標設定がとても重要です。まずはできる部分を伸ばせるよう にサポートすることで、モチベーションを保ちながら成長を促す ことが大切だと思っています。モチベーションが上がるポイント は人それぞれなので、達成感を得られるように、一緒に喜び褒 めることが、自信を育むきっかけになると考えています。少し ずつ目標に向かって進んでいけるようともに取り組んでいきた いと思っています。
新井 : 本日の座談会を通じて、物事をひとつの尺度で判断し ないことの大切さを再認識しました。年齢を重ねるにつれて、 これまで見えなかったことにも気づくようになり、モチベー ションや価値観が人それぞれ違うことを実感しています。一人 ひとりの特性を理解し、尊重することが重要だと感じました。 それぞれの強みを最大限に引き出し、ともに協力し合うことで、 個人だけでなくチーム全体としても大きな成果が生まれると 信じています。
PROFILE
高瀬 まき子 Makiko Takase
シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社
メッドコミュニケーション事業本部 Med Reach Lab Lab長
新井 直美 Naomi Arai
シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社
SSIカンパニー 横浜オフィス オフィスディレクター
佐藤 大介 Daisuke Sato
シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社
メッドコミュニケーション事業本部 Med Reach Lab メッドリーチプロモーショングループ グループリーダー
磯本 真理子 Mariko Isomoto
シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社
SSIカンパニー 京都オフィス オフィスディレクター
ある旅人が上着を着て歩いていました。北風は無理に吹いて上着を脱がせようとしましたが、旅人は逆に上着をしっかりと押さえました。ところが、太陽が優しく温かく照らすと、旅人は自然と上着を脱いでしまいました。
このお話は「リーダーシップ」について大切なことを教えてくれます。
企業では、ただ命令するだけではなく、みんなが納得できるようなマネジメントが大事です。
シミックホールディングス株式会社
グループコンプライアンス担当 金丸 恭子
座談会を通じてあらためて感じたのは、さまざまなバックグラウンドを持ち考え方も異なるメンバーと、チームとしての目標に向かいながら、その人ならではのやり方を活かして最大限の成果を目指すことが、リーダーとして必要だということです。
座談会に参加されたみなさんのお話を伺いながら、言葉として「ダイバーシティ」を意識していなくても、それを自然に実践されていると感じました。日頃のコミュニケーションの中で、メンバーそれぞれに関心を持つことの大切さも再認識しました。
童話「北風と太陽」のように、ルールをただ押しつけるのではなく、太陽のようにあたたかく、寛容に、信頼をもって接すること。それによって、知識だけでなく意識の面でも納得感を持ってルールが広がっていく。そんなあり方こそが、これからの時代のチームマネジメントにおいて大切なポイントになるのではないかと感じました。そして私自身も、太陽のようなあたたかさを忘れずに、チームと向き合っていきたいと思います。
PROFILE
金丸 恭子 Kyoko Kanamaru
シミックホールディングス株式会社
グループコンプライアンス担当
外資製薬メーカーでMRを経験したのちシミックグループに入社。品質管理本部長を経て、人材開発本部長、グループのダイバーシティ推進担当を務め、現在はグループコンプライアンスを担当している。