英語が“ペラペラ”じゃなくてもいいんです ―子どもの英語学習、わが家のケースから―
西手 夕香里(通訳・翻訳修士)
# ことばのおもてなし
# Hospitality of words
# Vol.31

通訳の仕事を通して様々な人に出会いますが、グローバルに活躍する日本人にはいくつかの共通点があります。一番の特徴は、「仕事ができる人」。さらに言えば、「どんな環境でも仕事ができる力を持った人」です。これらのキーワードをもとに、グローバルタレントに必要な能力を分析してみたいと思います。
私が社内通訳者として勤務していた自動車メーカーの米国工場では、新工場の立ち上げ準備として、日本人駐在員と出張者が現地の従業員に様々な技術を教えていました。「卓越した技術、専門知識、幅広い経験」を持つ技術者を派遣してほしいという現地からの要請を受け、管理職候補や力量評価のスコアが高い技術者が日本の各工場から選抜され、米国にやってきました。海外勤務の辞令を受けたのは、「英語ができる人」ではなく、「仕事ができる人」でした。駐在員や出張者は仕事を円滑に進める英語(clear and concise English)を習得し、ホワイトボードに図を描いて(use of visual aids)作業内容を説明し、現地現物で手本を見せていました(effective demonstrations)。彼らのような高水準のスキルを習得するには、self-empowerment、 resilience、reskillingが必要だと感じました。1つずつ解説します。
Self-empowerment
自分自身をいかなる状況においても最高の状態に保ち続けることができる能力がセルフエンパワーメントです。グローバルタレントには、ありたい姿と現在のギャップを埋めるための行動計画と、理想に一歩一歩近づいていくIntrinsic Motivation(内発的動機付け)が重要です。
Resilience
レジリエンスは、困難をしなやかに乗り越える力です。あるとき、製造ラインを巡回していた日本人駐在員が驚いた様子で私のところに飛んできて、「チューブがすべて、自分が教えた方向と真逆に曲がってる!!」と言いました。気が遠くなるようなやり直し作業を前に、彼は「おもしろくなってきたね(Now things are getting interesting)!」と現地従業員に言いました。申し訳ないことをしたと落ち込んでいた従業員の顔がぱっと明るくなり、皆でゲームのように楽しくreworkをしたのは良い思い出です。
Reskilling
リスキリングとは、新たに必要となる業務・職種に順応できるように、従業員がスキルや知識を再習得するという意味です。これまで実績を積み上げ、自信もある程度ついてくると、新たな環境に飛び込み一から新しく学ぶことに初めは躊躇すると思います。グローバルタレントは、リスキリングも楽しむことができる人なのかもしれません。
英語に関する困りごと、気になっていること、成功・失敗体験談などを募集しています。
応募フォームは、こちら
PROFILE
西手 夕香里 Yukari Nishide
通訳・翻訳修士
日米企業の社内通訳として11年間の経験を積んだのちに独立。フリーランスとして規制当局によるGxP 査察を中心に医薬品分野の通訳に関わる。2016 年にシミックグループに入社。現在、多数のプロジェクトで通訳・翻訳者として活躍中。